
アンコール・ワット西塔門 |
アンコール遺跡を訪れた旅行者がすぐに気づくアンコール遺跡特有の要素のひとつがデヴァターである。女神を意味していているというその華麗な肢体は寺院の壁面にレリーフとしてデザインされている。特にアンコール・ワット、タ・プローム、プレア・カンにはおびただしい数のデヴァターが刻まれている。
ひとりひとりに個性があり、理知的であると同時に肉感的だ。頭に華やかな冠をかぶり、腰の付近にも装飾を身につけているが、上半身は薄ものをまとっただけで体の線がはっきりとわかる。上半身が裸体の場合もある。下半身につけている衣も薄いヴェールのように見える。足元は裸足である。冠以外には指輪や細いリングなどをいくつも身につけている。ひとりでいることもあり、数人がかたまって立っていることもある。
デヴァターは寺院壁面の連子窓の間などに配置される。その結果として壁面の空白を埋め、壁面に温かさと潤いを与え、華麗さを演出している。デヴァターのレリーフは遺跡によって、また同じ遺跡でも位置によって、一体一体が違っている。容貌、着衣、装飾品、大きさなど、どれひとつとっても同じものはない。これらを作った職人たちは、かなり自由に制作にあたっていたように感じられる。またこれらの彫像にはモデルがいたように思われる。一定の様式を踏まえてはいるものの、デヴァターのひとりひとりが生き生きとしているのでそう思えるのだ。
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