Beng Thom ベン・トム

アンコール・トムは城壁と環濠に守られた巨大な宗教都城である。十二世紀後半、アンコールを支配していたチャンパを破って覇権を確立したジャヤヴァルマン七世により造営された。一辺が3キロの正方形で、周囲の城壁はラテライトで作られており、その高さは約7.5メートル。周囲の環濠は幅100メートル程度である。
アンコール地方の地形は基本的に平坦で、プノム・クーレンからトンレ・サップヘと、北東から南西の方角に向けてゆるやかに高度を下げていく。そのため、アンコール・トムは北東角が高く南西角が低い。その高度差は約5メートルある。かつてはこの高度差を利用して、北東角から環濠の水を城内に取り込んでいた。取りこんだ水は城内を流れて南西角のベン・トムと呼ばれる池に溜まり、ここから南西角付近の環濠に排出していた。
ベン・トムは矩形の池で、現在も存在しているが、水面は水草に覆われていてほとんど見ることができない。深い森の中にある静かで不思議な雰囲気の場所だ。アンコール・トム南門を入ってから、西側の森の中の細道をたどってゆくとベン・トムに至るが、道は錯綜している。行く場合は単独行動を避けたほうがいいだろう。


   
空から見たベン・トム。アンコールトム南西角に近い位置にある。
ベン・トムの内部。東側から南を見る(中)。東側から西、つまり長辺方向を見る(右)。水面は水草で埋まっている。

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