

モハオリはカンボジアの伝統的なアンサンブルのひとつで、娯楽的要素が強く、弦楽器が多く使われるのが特徴です。
ここに収録したのはシェムリアップ州にある有名な遺跡バンテアイスレイで、いわば大道芸人によって屋外で演奏されていたものです。 |
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この音は「ラジオ・アンコール」が企画される以前に単独で録音された。シェムリアップの北にある有名なバンテアイ・スレイ遺跡に行った時、寺院の西側から楽器の演奏が聞こえてくるのに気がついた。音のする方に行ってみると、遺跡西側の森のあたりで7人の男たちが地面に座って手に手に楽器を持ち演奏をしているのが目に入った。そのうちの何人かは盲目だった。彼らは遺跡に来る観光客を目当てにしていて、実際その場にいた聴衆も外国人が多かった。
彼らの演奏しているのは伝統的な音楽らしかった。手にしている楽器は手作りのように見えた。音の印象は素朴であり、すこしのさびしさのようなものもあって魅力を感じたが、楽曲そのものと演奏にどれくらいの価値があるのかはわからなかった。珍しさも手伝ってその場でビデオカメラを使って録音したが、観光客向けでさほど価値もないのではないかという疑問から、帰国後、そのビデオテープは長い間放置されていた。
しかし、ある時その音を思い出して、自分のサイトに載せる気になった。そこでその音楽がなんなのかを友人のカンボジア人にたずねると「これはモハオリだ」という答が返ってきた。
モハオリが伝統的な合奏形態のひとつであること、祝いの場で演奏されることなどを私はそのとき知った。
その後、私がアンコールを訪れる度に、いろいろな場所でこのグループをみかけた。彼らの収入は1ドル紙幣が山のようになっているときもあれば、小額のリエル紙幣が数枚というときもあり、その生活の真相は知るべくもなかった。
個人的なことだが、この音は私にとっては「ラジオ」の原点ともいえるものだ。比較的長い時間録音する、写真を同時に撮るというフォーマットもこのとき自然にできた。
私自身は音については素人だが、音は映像よりも奥が深い気がする。映像は、見ると充足するが、音はますます渇望する。映像は消費するが、音は蓄えられ、再生産される。感覚的な表現で恐縮だが、今はそんなふうに感じている。
(波田野) |
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