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プノンペンの北、メコン川の中にコー・ダッチという島があり、そこでは機織が盛んだということを最近になって知った。
モトでプノンペンから北へ30分ほど行くと、一軒の食堂があるだけの小さな船着場に着く。船着場としての設備は特にない。土がむき出しのただの川岸である。食堂で1500リエルの朝飯を食べ終わる頃、対岸からフェリーが戻ってきた。このフェリーはプノンぺン側から
は対岸の一カ所に寄るだけで、目的地はコー・ダッチだ。
船内にエンジンがむき出しになった騒々しい小型フェリーは人500リエル、バイクも500リエル。メコンの流れは大変にゆるやかで波も立たない。今年の雨期は雨が少なく、川の水位は例年より2メートル位も低い。それにしても大きな川を渡るというのはとても楽しいものだ。なんで楽しいのかは分からないが、何か血の中に埋め込まれた記憶に触れる気がする。
コー・ダッチは南北に長い島で、船着場は南端にある。フェリーは土の岸辺に直接、接岸する。そこからは島を縦断する1本だけの道路を北に走る。島の標高はとても低く、
水面から数メートル顔を出しているだけだ。洪水時には陸地はほとんどなくなってしまうに違いない。
道路沿いに並ぶ村の家々はカンボジアの典型的な高床式で、1階にあたる部分で機織が行われている。織り手は若い女性が多いが、男も織っている。絹織物が中心だということだ。
訪れた家では2人の若い女性が機織の最中だった。モトのドライバーが頼むと、こころよく同意してくれた。
機織というものを初めて間近に見た。これはなかなか力仕事だ。最近は男の織り手が増えているというのもうなづける話だ。
外ははげしく明るく暑いが、家の下は日陰で風が通り、なかなか涼しい。そんな場所で彼女たちは日がな一日、機を織る。シャトルが滑る乾いた音が印象的だった。
(波田野) |
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