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ここではシェムリアップに宿泊して周辺の遺跡を見て歩くという、いわば確立された観光のスタイルを前提として書きます。 遺跡を理解するための知識〜行くまでに勉強することがら〜 遺跡を見るためには、やはり事前に本を読んで勉強をしていったほうがいいと思います。アンコール遺跡は、他の遺跡と同様に、「意味」に満ち溢れています。それら意味を全く知らないで見る方法もあるとは思いますが、意味を知ればより深く理解できるのもまた事実でしょう。できれば遺跡の基本的な構造や素材、ヒンズー説話、クメールの歴史などについて調べてから行くと興味深く見られますし、ガイドとの話も弾みます。 特に、遺跡の平面構成について事前に知っておくと見て歩くのが楽になります。アンコール遺跡の平面構成は、基本的に東西の軸線に対して対称です。たいていは東が正面で、正面から見て左右が対象になっています(アンコールワットは、例外的に西が正面になっています)。 構成は幾何学的で、いくつかのパターンに分類されます。大きな遺跡を歩くときは、その遺跡の平面図を頭に入れておくと、今、自分がどこにいて何を見ているのかがわかりやすくなります。 行動パターン 一般的な観光の対象としてのアンコール遺跡群は、シェムリアップ周辺の広い地域に点在しています。これらの遺跡を回るには、シェムリアップに宿泊して、日帰りで周囲の遺跡を訪れるというスタイルをとります。宿泊施設が充実しているのはシェムリアップのみであり、事実上他の選択肢はありません。 乗り物 アンコール遺跡を回るには乗り物が必要です。パッケージツアーに参加するのではなく、個人で遺跡を見て歩く場合、(1)シェムリアップの町のあちこちにたむろしているバイクタクシーを一日チャーターする(2)宿で車をチャーターする(3)バイクを借りる、の3つの方法があります。また場所によっては地元で日帰りのツアーに参加することもできます。 バイクの後に乗るスタイルで丸1日ドライバーつきでチャーターして、シェムリアップ周辺を回って5〜7ドル。バンテアイスレイに行くには追加料金が必要です(交渉)。バイクにはノーヘルメットで乗ることになるので、危険は覚悟しなければなりません。 バイクタクシーのドライバーは概して若く、性格のいい青年たちです。 車は1日20〜25ドル程度。遠出をすると35ドルくらいでしょうか。 ルート 出発前にその日のルートを「一筆書き」式に決めておく方がいいでしょう。バンテアイ・スレイやプノム・クーレンをのぞけば、観光の対象となる主な遺跡にはシェムリアップから30分程度で到達できます。 朝はやく出発して昼までに宿に戻り、食事して休息してから午後もう一度出かけるパターンがおすすめです。シャワーも浴びられるし、疲れがたまらず快適です。 シェムリアップ周辺には数多くの遺跡がありますが、多くのポイントを回るよりも、数を減らしてじっくり見たほうがいいでしょう。できれば最初にガイドと一緒にまわって説明を聞き、2度目はガイドなしで、じっくりと気に入ったところだけを見るというのが最良だと思います。 遺跡パス 遺跡を訪れるにはパスが必要です。1日20ドル、3日40ドル、1週間60ドル。シェムリアップからアンコールワットに向かう道路の途中に、チケット売り場兼チェックポストがあります。ここでチケットを買うと、ポラロイドでその場で写真を撮り、チケットに貼ってパウチしてくれます。このチケットはいつも持っていて、遺跡の入口にいる係員に見せなければなりません。町の北方(アンコールワット方向)にある遺跡に行くには、必ずこのチェックポストを通ることになり、ここでチケットを見せるとパンチ穴を開けてくれます。 ロリュオス遺跡群などに行く場合には、このチェックポストは通りませんが、各遺跡の入口に係員がいます。 持ち物と服装 軽い山登りの時の持ち物・服装と考えればいいと思います。 まず、靴は軽くてしっかりしたもの。水は必ず持参したほうがいいでしょう。 軽いライトがあると、暗い回廊でレリーフを見るときに便利です。ただし他の人の邪魔にならないよう注意する必要があります。 双眼鏡があると、たとえばアンコールワットの中央祠堂の細部を観察することができたりします。倍率が低いもので十分です。 スーパーでもらう袋をいくつか持っていると、意外に便利です。ごみ袋になったり、濡れた衣服を入れたりできます。 ガイド 初めての訪問では、最初の数日間はガイドをつけることをおすすめします。英語を話すガイドが大半ですが、日本語を話すガイドも頼めます。個人旅行者でも、宿に頼めばアレンジしてくれるはずです。アンコール遺跡は「意味」に満ちていますが、ただ見るだけではその大半を理解できないでしょう。事前の勉強とあわせて、ガイドの説明を聞くことで理解が早まりますし、要領よく見ることもできます。ガイド料は1日20ドルくらいです。 訪れる時刻 どの遺跡にも「ラッシュアワー」があります。ツアーの集中する時間帯や、場所によっては日の出・日没などの時間帯がこれにあたります。この時間帯を外すと静かな環境で見られます。たとえば夕日を見るポイントのひとつ、プノン・バケンはその時刻には大変なにぎわいを見せますが、日中は大変に静かです。ただし「ラッシュアワー」はその遺跡の美しい時間帯でもあります。静けさを取るか、ベストの時刻を取るかはその人の判断です。私は静けさをとります。 遺跡についたら 入口付近にいる係員にパスを見せて入ります。ほとんどの遺跡は現在は使われていないので、基本的に内部を自由に見て歩くことができますが、一定の自制と敬意が必要でしょう。 主要な遺跡には子供がおおぜいいて、飲み物やTシャツを売っています。しつこくついてくる子供たちもいますが、買わないならはっきりと意思表示をしたほうがいいでしょう。大半は良い子たちです。 遺跡のここが危険 <暑さ・疲労・急な石段> アンコール遺跡を見るには、かなりの距離を歩きます。これに暑さと陽射しが加わります。それらから来る疲労が、最初の注意すべきポイントです。特に酷暑の時期には、帽子と水分補給が必須だと思われます。 つぎに、アンコール遺跡には、急な階段があります。アンコールワット第三回廊に登る石段の上部から落ちたら、命はないでしょう。他にも、急な階段を持つ遺跡が少なくありません。 整備された観光地とちがって、危ない場所でも、てすりなどないのが普通です。 人のあまり訪れない遺跡の草むらには、毒のある蛇がいます。崩れた石材が不安定に積み重なっていることも考えられます。いずれにしても、アンコール遺跡の大半は、安全とは言いがたい環境にあります。 <地雷> カンボジアでは地雷の危険はいまだに日常的です。 シェムリアップあたりでは地雷の危険はなく、問題ないと皆がいいますが、道を外れて草むらやヤブの中を歩くのはやめたほうがいいでしょう。 地雷についてのわれわれの知識はあまりにもいい加減ですから、シェムリアップからアンコールワットに行く道の途中の右側に入ったところにある、民間の「地雷博物館」を見ることをおすすめします。地雷の敷設の状況などもふくめて、地雷に関する知識が得られます。場所はシェムリアップで聞けばわかります。無料ですが、多少の寄付をしたほうがいいと思います。 <犯罪> 観光客の良く行く有名な遺跡では、まず犯罪に巻き込まれる危険はないといっていいと思いますが、観光客のあまり行かない遺跡では 単独行動を避け、できるだけ地元の人と行動するようにすることをおすすめします。 |