アンコール・ガイド - カンボジアの旅の技術に関するすこし突っ込んだ議論(3)

 
テーマ:カンボジアは民主主義国家か?

カンボジアを訪れてカンボジア人が明るく親切だと感激して帰ってくるひとが少なくない。
ここではそのこと自体に反論するつもりはないが、では彼らの生きているのはどんな社会なのだろうか?

カンボジアは民主主義の国だと漠然と思っている日本人はどれくらいいるだろうか。私はたくさんいると思う。
旅行者として訪れたとしても、カンボジア社会の実相に触れる機会はほとんどないだろう。仮に何年か住んだとしても、どこまで彼らの真実に迫れるかどうか。

結論から言えば、カンボジアは民主主義の社会ではない。といって北朝鮮のような全体主義国家でもない。いってみればその中間にある。
たとえばカンボジアでは、国会議員は選挙で選ばれる。新聞やラジオがあり、一見、言論の自由があるように見える。労働運動が行われ、組合があちこちで組織されようとしている。裁判制度もある。
しかし、である。
これらの実態は、ここでは詳しくは書かないが、いずれも真の民主主義からはいささか遠いといわざるをえない。労働運動のリーダーたちはときとして犯人の不明なテロの標的となる。裁判結果が政治に左右されるという疑いが消えず、国民の裁判制度に対する信頼は低いといわざるをえない。
つまり、さまざまな民主主義的な装いを整えてはいるが、その実態は民主主義と呼ぶことはできない。
それは簡単にいえば大衆の持つべき権利が制限され、特定のひとびとに不公平な富と権力が集中しているということだ。

カンボジア人は外国人には本当のことをいわない。
過去のことは語るが現在の問題点について批判しない。それは自分が口にした現在に対する批判がもたらすかもしれない災いを恐れているとうことだし、さらにいうなら他人を信用しないということでもある。
しかし旅行者はカンボジア人の本当の気持ちを知ることなく、「みんな親切でした」とか「笑顔がすてき」とか「貧しくとも一生懸命生きているのに感動した」とかいって帰ってくる。

カンボジアに旅するとき、民主主義をまだ手にしていない、国民がまだ幸せになっていない国を自分は旅しているのだと知るべきだ。

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