市の中心部を通過して交通量の多い雑然とした大通りから未舗装でぬかるみの多い裏道へと入って行く。あたりは碁盤の目状に区画されている。住宅地のようだ。その一角にある長い灰色のコンクリート塀の前でバイクが停まった。狭い入口の奥に一目で学校と分かる平凡な建物が見えている。そこがトゥール・スレンだった。
入口を入ると正面に入場券とみやげものを売っている建物がある。ポル・ポト時代は管理棟であり文書保管所でもあった。建物の周囲は庭になっていて、庭を取り囲むように四棟の三階建ての建物が立っている。切符を買い、庭の芝生の上に出て、そこであたりを見渡した。
現在、博物館として保存されているのは東に向いたコの字型に配置されたこれら四棟の建物と建物で囲まれた庭の部分だ。建物の内部は展示室になっている。
ここがポル・ポト時代に尋問センターであった頃、その敷地は東西600メートル南北400メートルもの広さを持ち、博物館西側の土地をふくむひとつの街区を占有していた。西側には小学校があり、そこにも容疑者を収容していた。小学校校舎の西側の土地は処刑場で、犠牲者を埋めた場所もある。街区全体は高い塀、高圧電流を通した厚い鉄板、有刺鉄線で囲まれ、逃亡することは不可能だった。周囲の民家は尋問施設や職員の住居として使われていた。
トゥール・スレンの建物は、もともとはツールスワイプレイ という名の高校だった。解放勢力によるプノンペンの「解放」後に、主に党(カンプチア共産党)の内部の敵を探し出して殲滅するための情報を引き出す秘密の尋問センターとなり、暗号名でS21と呼ばれたが、政権奪取以前にコンポンチャム州やラタナキリ州の森の中に潜行していた党幹部の秘密基地がオフィス100と呼ばれたのと同様、無機質な名前の裏に残虐な性質が隠された政権の体質を端的に表現しているように思われる。現在のようにトゥール・スレン と呼ばれるようになったのは1980年にベトナムによって博物館となってからだという(「キリング・フィールドへの旅」より)。

カンボジアの歴史の中で、1975年から1979年までの期間はきわめて特異な時代として記憶されるでしょう。この短い期間に200万ともいわれる国民が死に追いやられただけでなく、社会そのものの徹底的な破壊が行われました。いったい何が起きたのか。なぜ起きたのか。時間が経つにつれ、 謎は深まるばかりです。このページでは、ポル・ポトの時代について知るためのコンテンツを集めました。

オリジナルコンテンツ

Tuol Sleng Museum  トゥールスレン虐殺博物館
Killing Fields, Choeung Ek  チュンエクのキリングフィールド
PhnomTrungBat (Kra Lanh) プノム・トゥルンバトのキリングフィールド
国道6号上、シェムリアップの西に位置するクラランの北にある大規模なキリングフィールド。DCCAM資料によると約36000人が殺害されたという。
  Kok Ta Men (Puok)  コク・タ・メンのキリングフィールド
西バライ西側にあるキリングフィールド。
Wat Adthekaram  シェムリアップ市内のキリングフィールド
シェムリアップ市内の寺院がかつて処刑場となった。
キリング・フィールドへの旅
サイト作者がおとずれたキリングフィールドのリスト。
 

リンク集

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情報の掲載は順不同で す。

  

小倉貞男の現場
東京外国語大学2001年度カンボジア文献講読ゼミ「カンボジア缶」より
小倉貞男=元読売新聞記者。サイゴン特派員を経て1979年、解放後のプノンペンに入り取材。著書・訳書に
「ベトナム歴史の旅」(朝日選書、2002年)、
物語ヴェトナムの歴史−一億人国家のダイナミズム」(中公新書、1997) 、「シハヌーク−悲劇のカンボジア現代史」(訳書、岩波書店、1996年)、「ポル・ポト派とは?」(岩波ブックレット、1993年)、「ドキュメント ベトナム戦争全史」(岩波書店、1992年)、「朱印船時代の日本人−消えた東南アジア日本人町の謎」(中公新書、1989年)ほか。

ポルポトの死:「共産主義」とは何だったのか
1998年4月20日。フリーの国際情勢解説者、田中宇(たなか・さかい)氏のサイト


The Cambodian Genocide Program
イエール大学による

Documentation Center of Cambodia
カンボジア人の手でポルポト時代を検証するための情報収集を行っている民間機関。全国に散在するキリングフィールドのマスターリスト作成、GPSによるマッピングや被害者・加害者双方からの聞き取り調査など、その活動は多岐にわたる。

The Digital Archive Of Cambodian Holocaust Survivors


阿佐部伸一ルポルタージュコレクション

Postx Web Site

ポルポトとキッシンジャー

ポルポトの手堀りダム
旅行会社エーペックスのサイト。

カンボジア特別法廷関連資料:「ポルポト時代の死の記憶をいかに処理するか」(アジ研ワールド・トレンドNo.82)


カンボジア現代史年表
わかりやすくまとめられた年表。
 

参考書籍  

S-21

ポルポト伝

 
 

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